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────────────────────────── ある孤島で始まった。 ある萌えもん達の戦い。 世界で一番悲しき争い・・・。 「あんたぁ何なのよ!!!」 「あんたの、コピーよっ!!!」 フシギバナは戦う。自分と。 「私は一人でいいのっ!ますたぁと一緒なのは私だけっ!」 「ますたぁは私のもの・・・本物に勝てば私が本物っ!」 リザードンは戦う。自分と。 ギャラドスは。ライチュウは。ウツボットは。マニューラは。 戦う。自分と。 ミュウは戦う。ミュウツーと。 コピー達は戦う。本物の座を手に入れるために。 オリジナル達は戦う。自分の居場所を守るために。 それぞれが繰り出す一撃は悲しく、辛い。 俺はいつしか涙を流していた。 この悲しい戦いに。 自分で自分を傷つけるようなこの戦いに。 「嫌だ・・・こんなの・・・」 「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 心から出たかのようなその叫びは空しく響く。 止められない。 コピーもオリジナルも必死で戦う。 それはもう止められない。 そう分かった時、体は勝手に走り出していた。 ミュウ、ミュウツーの所へ。 「もう・・・やめてくれ・・・」 「下がりなさい!邪魔です!」 ミュウは辛辣な言葉を渡す。 やめたい。戦いを。 それはどの萌えもんも同じ・・・ だが、やめる事は出来ない。 レッドも分かっていた。 萌えもん達も分かっていた。 ミュウも分かっていた。 ミュウツーは分かっていた。が、やめない。 コピー達も分かっていた。が、やめられない。 ミュウとミュウツーは最後の一撃を放とうと地に降り立った。 全てが吹き飛んでしまいそうな力を両手に込める。 それらが放たれた時、レッドは間に立っていた。 「早くっ!どきなさい!」 ミュウが叫んだ時はもう遅かった。 「人間っ・・・!」 ミュウツーが叫んだ時はもう近くまで一撃が迫っていた。 「レッド!!!!!!!!!」 フシギバナは走っていた。 レッドの元へ。 自分の主人の元へ。 最愛の人間の元へ。 2発の一撃の位置が一致した時、辺りはものすごい光に覆われた。 全ての萌えもんの動きを止めさせるほどの光がスタジアムにほとばしる。 「・・・いって・・・」 レッドは地に伏していた。 そして状況を思い出し、振り返る。 そこには・・・ フシギバナが倒れていた。 力の衝撃を受け、体は薄白い光につつまれていた。 「フシギバナ!!!」 叫んで、走り寄る。 返答は無かった。 なんの反応も返さずただそこにあり続けた。 フシギバナの目は開いたまま、涙を流していた。 生物として生きてはいた。 だが、フシギバナとして死んでいた。 「お前のせいだ・・・」 「お前のっ!!!!!!せいだっ!!!!!!」 レッドはミュウツーに向けて走った。 ミュウツーは手をかざした。 レッドは後ろへ吹き飛ばされた。 立ち上がり、またミュウツーへ向かって走る。 また、吹き飛ばされた。 また・・・。 「なぜ・・・」 ミュウツーは小さく呟く。 「なぜたった一匹の萌えもんのためにそこまで怒れる?」 率直な質問。 心に浮かび上がった謎。 「こいつが好きだから・・・好きだからに決まってるだろ!!!」 叫び、走る。 今度は吹き飛ばされず、そしてミュウツーに掴みかかった。 「なんで・・・こんな事するんだ・・・」 大粒の涙を流しながら訴える。 「フシギバナを・・・返してくれよ・・・」 ミュウツーは黙って聞いていた。 そして感じていた。 萌えもんに対する愛を。 ひとつ知った。 人間と萌えもんの間にも愛は生まれると。 コピーとオリジナルの戦いが止まった。 コピー達はミュウツーの元へ。 オリジナル達はミュウの元へ。 それぞれついた。 ミュウは語りかけた。 「貴方が人間を憎むのは分かります。人間たちは自然を破壊し、私達萌えもんの住処を奪う。人間たちは私達萌えもんを捕まえ、争いの道具にする。 私達萌えもんを物の様に扱い、時に人間たちの理由によって殺される。それでも中にはこんな人間もいる・・・」 ミュウツーは黙って聞いていた。そしてレッドに語りかける。 「もっと早く・・・お前の様な人間に会えればよかった。」 それは優しく、慈愛に満ちた声だった。 そしてゆっくりとフシギバナの元へ歩いていく。 「ミュウ・・・私のオリジナルであるお前が私は憎い。だが」 「・・・」 ミュウは黙って聞く。 「憎んでもそれは仕様が無い事だ。私は私、ミュウツーとして生きていく。」 ミュウは微笑んで答えた。 「どっちがオリジナルという事ではなく、どっちもオリジナルなのです。」 「そうだな。」 ミュウツーも少しだけ、微笑んでいた。 「この子を助ける。手伝ってくれ。」 「もちろんです。」 ミュウとミュウツーは手をかざし、目を瞑る。 それが終わった時、フシギバナは目を開けた。 ミュウツーは誰にも聞こえないような、フシギバナにだけ聞こえるような声でいった。 「お前はいい主人を持っているのだな。」 フシギバナも小さく答える。 「当たり前じゃない。」 ミュウツーはふっと口角を上げるとゆっくりと離れていった。 「れっ・・・」 フシギバナが叫ぼうとした時、すでに主人は目の前にいた。 レッドは力強く抱きしめる。 「よかった・・・よかった・・・」 幼い子供のような声を上げてレッドは泣いていた。 「もう・・・大丈夫だって!なんたって私よ?」 フシギバナは強がって笑う。 「そう・・・だな・・・」 「・・・・・・大好きだよ。」 「・・・俺もだ・・・」 2人の姿は確かに愛だった。 「それでは。私はもう行く。」 「ええ。お互い頑張って生きていきましょう。」 ミュウとミュウツーはそう言い交わすと宙に浮いた。 「申し訳ありませんでしたね。ご迷惑おかけして。」 「大丈夫だ。フシギバナももう何もないようだし。」 「お詫びとお礼を兼ねて、これを。」 ミュウから手渡されたもの。丸い宝石のついたネックレスだった。 「それと重ね重ね申し訳ないのですが・・・記憶を消させていただきますね。」 「それがいいかもな。なんたって・・・こんな事があったんだ。」 「ご理解頂き有難うございます。では。私も失礼しますね。」 「元気でな。捕まらないように。」 「ええ。貴方になら捕まってもいいかもしれませんが。」 ミュウは笑いながら軽い冗談を口にする。 「えっ!!!嫌っ!!!」 冗談と知ってか知らずかフシギバナは率直に拒否した。 「勘違いすんなよ・・・まったく。」 「むぅ~・・・」 レッドとミュウに笑われて照れるフシギバナ。 「それではまたいつか。お目にかかる事があればよろしくお願いしますね。」 「ああ。じゃあな。」 「ばいばーい!」 ミュウが飛び立った後、スタジアムに光が溢れる。 「いろいろあったなぁ・・・」 「だねぇ・・・」 「ありがとうな。」 「なんでよ・・・」 「お~い、フシギバナ~」 「・・・・・・・・・にゃはっ!」 「寝惚けんな。そろそろ行くぞ~」 ここは萌えもんセンターの仮眠室。 相変わらずフシギバナはアホ全開。 「れっどぉ~・・・どこ行くのぉ~・・・?」 「・・・さぁ?どこだろう・・・」 「じゃぁ寝る~・・・」 「ダメだって!ほら!行くぞ!どっか適当に!」 「むぅ~・・・」 レッドとフシギバナは歩き出す。 新たな町へ。新たな冒険へ。 その首には不思議な不思議なネックレス。 「フシギバナ~」 「ん~?」 2歩ほど後ろを歩くフシギバナに声をかけるレッド。 それに返事を返すフシギバナ。 「ほら。」 そう言って手を出す。 フシギバナの顔がぱぁっと明るくなった。 手をつないで行こう。どこまでも。いつまでも。 ────────────────────────── 「ねぇレッド~」 「あぁ?」 「目ぇ瞑って!」 「何でだよ・・・」 「何でもするっていったじゃん!」 「そう言えば・・・しょうがない。瞑るだけでいいのか?」 「うんっ!」 「あいよ。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7話!これで一段落ですねぇ。 映画っぽく、なおかつオリジナリティを出したつもりなんですが・・・いかがだったでしょうか。 楽しめたのであれば嬉しい限りです。 また適当に気が向いたら書きますので・・・次回作もどうぞよろしくお願い致します。
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僕はどうしようもなく臆病だ。 誰かを傷つけるのが怖い。 でも、自分が傷つくのはもっと怖い。 だから、僕は仮面をつけることにした。 それは、俺が入社して、まだ1週間が過ぎたばかりという頃、突然上司が代わった。 そして、研究内容が過激なものになった。 逆らった同僚は、黒づくめの男たちに連れて行かれ二度と戻ってこなかった。 その同僚がどうなったかわからないし、わかりたくもない。 自分は同僚のようになりたくない。 怖いから従った。 でも、傷つける側になるのも怖かった。 だから、できるだけ感情を抑え込むことにした。 自分はどんな酷いことも平気で出来る。 そういう風に振る舞っていれば、いつか本当になって、苦しみから逃れられると思っていた。 決して逆らわず、ただただ協力し続けた俺は、他の同僚より比較的自由に行動することを許されるようになっていた。 部屋は薄暗く、壁は暗い青に塗られている。 部屋には大きな水槽があり、水が張られている場所と陸地とに分かれている。 そして、水槽の中だけが明るい。 それが、私の周りにある世界のすべて。 私は物心ついたときから、既にここにいた。 だから、私は見たことがないのだが、水族館というところをイメージして造られたらしい。 そこに、白衣を着た一人の男がはいってきた。 「お疲れ様。今日の仕事はもう終わったの?」 「お前に食事をやれば終わりだ。」 彼は不機嫌そうに答える。 「フフ、毎日大変ね。もう半年になるのかしら?あなたが来てから…」 「確かにそうだ。だが、俺はお前と仲良くお喋りする気はない。」 「つれないわね。本当は優しいのに。」 「とにかく、残さずに食べろよ。お前が体調を崩すと俺の責任になる。」 彼は眉根を寄せてそう言うと部屋から出て行った。 私は食事に目をやる。 栄養価だけを考えて、味なんて一切考えていない。 どうにも味気ない食事である。 だが、そんな中に場違いなものが一つ。 ミックスオレだ。 もちろん、あの連中の出す食事にこんなものは含まれていない。 なぜ、そんなものがここにあるのか。 それは、彼と会って一週間になろうかという頃、彼からもらって初めてミックスオレを飲んだ。 そのとき私が「おいしい」と喜んだのを覚えていて、毎週金曜日の夕食に彼がつけてくれているのだ。 やつらが来てからの研究は、それは酷いものだった。 萌えもんを状態異常にするためのアイテムを開発するための生体実験。 萌えもんを売りつけた後、購入者に逆らわないようにするための拘束具の開発。 そして、最近は萌えもんにどれだけの電流を流してバイタルの変化を調べるという危険な実験をしている。 マジックミラーの向こう側で椅子に縛り付けられた萌えもんが悲鳴をあげて苦しんでいる。 流される電気はどんどん増えて行き、このままでは死んでしまうと思った。 だが、それでも流される電気は増え続ける。 俺は、やつらが怖くてそれを止めることができなかった。 そして… 彼が部屋に入ってくる。 だが今日はいつもと様子が違った。 「どうしたの?顔が真っ青よ。」 「なんでもない。」 彼はそう言うと黙り込んでしまった。 そして、突然水槽の出入り口の扉を開いた。 「どうしたの?何かの実験に行くの?」 そう尋ねると、彼は最初はぽつぽつと、しかし、途中からは堰を切ったように話しだした。 「今日、実験中に萌えもんが一人死んだ…俺は止めることができなかった… もう耐えられない。俺は誰かを傷つけるのが怖かった。でも自分が傷つけられるのはもっと怖かった。 だから、平気なふりしてやつらに協力したんだ。でも、君に優しいと言われる度に胸が痛んだ。 いつか本当に平気になると思ってた。でも、俺はなれなかった。」 彼は一気にまくしたてると私に告げた。 「だから、君たちを逃がす。」 「あなたはどうするの?そんなことして大丈夫なの?」 「大丈夫じゃない。だから、君たちを逃がしたら僕も逃げるよ。」 そして、僕は萌えもん達を逃がした。 見張りは萌えもん用に開発した睡眠玉で眠らせた。 萌えもん達は地下と空から逃げるように言っておいた。 萌えもん達と別れた僕は、やつらがいないクチバ方面に向かった。 ゲートの警備員は、こんな時間に出ていく僕を不審がっていたようだ。 しかし、僕が与えられた自由にはゲートの通行も含まれていたため通ることができた。 …おそらく、僕は殺されるだろう。 僕はやつらの研究を知りすぎている。 やつらにとって、僕は絶対に逃げられるわけにはいかない程度には重要で、迷わず殺してしまえる程度には重要じゃないはずだ。 精一杯生き延びる努力をしようとは思うが、体力もなく逃走するための知識も持ってない。 見つかるのは時間の問題だ。 せめて、僕の捜索に人員が割かれている間に、彼女たちが遠くに逃げられればいいと思う。 「おい、見張りはどうした。なぜ、寝ている。」 「萌えもんたちがいないぞ。」 「馬鹿な。自力で逃げられるはずはない。」 「誰かが裏切りやがった。」 「眠らされる前に白衣の男を見たらしい。」 「なんだと。研究員を確認しろ。」 「ヤツがいない。見つけ出せ。殺してもかまわん。」 辺りが騒がしくなってきた。 僕が逃げたのがバレたのだろう。 僕は必死に逃げた。 だが、いつの間にか追い詰められ、いつしか崖を背にしていた。 僕の前には上司と一人の黒づくめの男がいる。 「どうやらここまでのようだな。背後は切り立った崖。飛び降りても確実に死ぬ。死体もあがらんよ。」 上司がおかしそうに言う。 「君が戻ってくるなら許してやってもいい。だが、それが叶わなければ…」 黒づくめの男が銃を構える。 きっと戻っても殺されるのだろう。それに、たとえ殺されなくても、もうヤツらに協力するのは耐えられなかった。 「断る。もう君たちに協力はしたくない。」 「そうか。残念だよ。やれ。」 黒づくめの男が指示を受けて引き金を引く。 パーン 乾いた音がした。 僕は撃たれたと感じた次の瞬間、浮遊感を味わっていた。 そして、僕の意識は途切れた。 眩しさに目を開けると、そこは一面の青だった。 「ここは…」 「よかった。気がついたのね。」 青い美しい髪の萌えもんがこちらを振り返る。 「ラプラス…僕は…撃たれて…」 わけがわからない。 僕は撃たれて崖から落ちた。そして死んだはずだった。 でも、痛いところなどなく、目の前には彼女がいる。 「別に怪我は無かったわよ。撃たれたと思って驚いて足を滑らせたんじゃない?」 どうやら、そのようだ。 弾は僕に当たらなかった。しかし、撃たれたと勘違いした僕は崖から落ちた。と 「でも、君が何故ここに?」 「背中に乗せてくれた娘に一番近い海に送ってもらったの。 でも、いきなり沖に行くのは怖いから岸の近くを泳いでいたのよ。 そしたら、崖の上が騒がしくなって人が落ちてくるんだもの、ビックリしたわ。 しかも、それがあなたなんてね。」 彼女がおかしそうに笑う。 「すごい偶然だな。でも助かったよ。」 崖に追い詰められて、弾が外れて、勘違いして落ちて、そのままだと死ぬところを偶々通りかかった彼女に助けられる。 出来すぎているような気がするほどだ。 「偶然?違うわ。こういうのには、もっと他の呼び方があるの。」 「何て呼ぶの?」 「運命よ。」
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※注意 ・これは作者の妄想を徒然なるままに書いた作品です ・パウワウの捕まえるところがおかしいだろ!! って思う人もいらっしゃるかもしれませんが、自分は アカギVer.でやっているものをそのまま再現しただけなので深く突っ込まないでください。 ・これ以降、極力続きを書こうとは思っていますが作者の気力次第です。できれば応援してやってくだ さい。 ・萌えもんの名前に関しては深く突っ込まないでください。マジで、頼みますから(涙目 それではお目汚しですがどうぞ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ここはセキチクシティの萌えもんセンター。タマムシシティからサイクリングロードを経てここまで やってきたのだが、途中サイクリングロードにたむろしている暴走族が次から次へとつっかかってくる わ、野生の萌えもん達が次々と襲いかかってくるわでその道のりは楽なものじゃなかった。手持ちの回 復薬一式が底を尽きかけた時にようやくセキチクシティに着いたのが二時間前。手持ちの萌えもんを預 け、安堵と疲労の混じった息を吐き出しながら待合室の椅子に体を預けた。しばらくするとだるさが体 中に回り目蓋が重くなってきた。バトルが連続して高ぶっていた気持ちが一気に緩んだからだろう。預 けたみんなが戻ってくるまでそのまま少し寝ようとして、 「マスター」 聞き覚えのある声が聞こえて目蓋を開けた。愛らしくも透き通った声。声のした方向に顔を向ける と、そこには1人の萌えもんが立っていた。白くふわふわとした長い髪にこちらを見つめるつぶらな瞳 水色のゆったりとした衣を身に纏う可愛らしい萌えもん、ジュゴンだ。僕は彼女をシエラと呼んでいる お気づきだと思うが彼女の言うとおり僕がマスターである。シオンタウンの草むらで当時パウワウだ った彼女を捕まえて、パーティの一員として加えた。最初の方こそ少々、というかかなり頼りなかった が、進化してからというもの欠かすことの出来ない戦力となってくれている。実際、さっきの連続戦で は状態異常付加の攻撃技を使用してくれたおかげで切り抜けることが出来た。彼女がいなかったらタマ ムシシティのセンターまで引き返さなくてはならなかっただろう。 「お疲れですね、マスター」 「ああ、さすがに連続でバトルはキツかった。でも無事に到着できてよかったよ。みんなが頑張ってく れたおかげだ。もちろんシエラもね」 「えへへ、ありがとうございます」 くすぐったそうに笑うシエラ。彼女の笑顔を見てると胸の内が温かくなる。明るくて、何気ない話に も笑顔で聞いてくれる彼女は仲間内のムードメーカーだ。この笑顔に救われたのも一度や二度じゃない ーーーーーシエラに会えて本当によかったと思ってる。ありがとう、シエラ。 口で言うのは照れくさいので心の中で感謝する。まったく、素直じゃないってのは損な性格だ。 「それじゃあ、マスター」 「ん?」 くすぐったそうな笑みから一転、目をキラキラ輝かせながらにぱーっと子どものような笑顔になる。 それを見て僕は自分がうっかり発言をしてしまったことに気づいた。 「頑張ったシエラにご褒美下さーーーーーーーい!!!!!」 気づいたときにはもう遅い、彼女の『突進』をもろに受けることになった。 ………訂正、素直じゃなくてよかった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後書き はい、ありがとうございました。はじめてなので何コレ? と思われる方も多いと思われますが、右か ら左へ受け流してください。生意気いってんじゃないよと思われるかも知れませんが、感想とかいただ けると嬉しいです。悪い点があれば指摘してください。作者が凹みますが、頑張って直していきたいと 思いますので。
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出会いもあれば別れもある トレーナーを失った者も居れば 新たな出会いを求め訪れる者も居る ここはそんな場所 「おはようございます先生」 「お早うパウワウ」 「また一緒かシェルダー さてはまた夜泣きでもしたか?」 「違うもん! ただ…ちょこっとママの所に行きたくなっただけだもん」 新年を迎え、お正月ムードの世間だが、此処萌えもん保護所はいつもと大した変化は無かった いつもの面子のパウワウ、ゲンガー、シェルダーに今はもう一人 「にぎやかだな…本当に」 「にぎやかなのは嫌いですか?」 「いや…にぎやかなのは嫌いじゃない…」 少し前よりエアームドが暮らしている もちろん捕まえたわけではなく、保護所に新しく入った萌えもんだ 「エアームド、今日は午後にトレーナに入っているから」 「・・・・・本当に会わなければいけませんか?」 「駄目ね、貴女をこのままにしておくことはこの施設上出来ない かといって私のものになる気はないのでしょう?」 「私が主だと認めたのはあの人だけ…その主に捨てられた私に新たな主など…」 患者:エアームド 事情:元トレーナーが本保護所に預ける 状態:トレーナーが居なくなり、捨てられたものと思い込み弱度の心神喪失状態 カウンセリングの結果回復、現在は新たな引き取り手を募集 ただ、前述の心神喪失状態は回復したものの精神的な不安定は変わらず 「ふん、情けない」 「何だと」 煮え切らない態度のエアームドにゲンガーの辛辣な一言 それにエアームドが突っかかる 最初の頃から皮肉屋のゲンガーは真面目なエアームドとは相性が悪かった 「捨てられた捨てられたとしつこいんだよ 他の主に仕えたくないなんてかっこいい事言ってるが結局は捨てられたことを認めたくないだけだろう? そんなに捨てられたのが悲しいなら『私は愚かな主に捨てたれたので自害します』といって腹でも切れよ」 「貴様…私の侮辱は兎も角主の侮辱は許せん…」 「その主様は何処に居るんだ?」 「くっ…」 「認めろよ…お前は捨てられたんだ」 「わかっている…! わかっているさ…」 「だったら、捨てられたんだからとっとと新しい主を見つけろ」 「・・・・・」 主…私は何を貴方に出来ただろうか… 私は主に従い、長い間戦ってきた (エアームド…すまない) 何故…何故私を捨てたのですか? 私が…私は何か間違いを犯したのでしょうか? 「…はじめまして、エアームドです」 「よろしく それとお隣のステキな先生も」 「立会人のサキです」 「ちぇっ、スルーかよ」 エアームドの引き取りを希望したトレーナーはやけにノリの軽い青年だった 「まぁ、とりあえず握手でも」 そういって右手をさしだす青年 その手をすこし戸惑いながら掴むエアームド だが ―スポン― 「はえ?」 手が取れた ・・・・・よく見てみれば掴んだ手は昔あったいたずら用のオモチャだ さっきから手の動きが不自然だと思ったら… 「ふふふ…ははははは! ひっかっかっt」 「天誅!!」 「ひげふ!?」 大笑いする青年…に全力でツッコミをいれたのは、彼の傍らに居たビードルだ 「初対面の人にそれはダメだと何回言えばいいんですかっ!」 「痛いなーもう…突き刺すならココだって言ってるだろ さぁ、こんどはココに!」 と言って尻を突き出す・・・・・頭が痛くなってきた エアームドはこの状況に対応し切れていないようだ 当選、ビードルは突き刺すことはせずに阿呆な主を殴り飛ばす 「殴ったね! 親父にも…いっぱい殴られたな」 「はいはい、いい加減バカやってないでとっとと土下座しろこのバカトレーナーが」 「命令っすか!?」 「大体マスターみたいなバカじゃ土下座でもしないとこんなカッコイイ萌えもんが従ってくれるわけないじゃないですか」 「私がカッコイイ…?」 「そうですよーカッコイイですよ 何というか…守護騎士さま?」 「お前は騎士とかそういうのが好きだもんなぁ…」 「あぁ…鎧と剣 叶うならば私も戦場を駆ける戦乙女に…」 勝手に漫才を始める二人…いや、駄目だろう 「どう? エアームド」 「う…」 「ほら 引いてますよマスター?」 「…やっぱりこういうノリはまずかったか」 「最初に気づいてください」 あのノリは演技だったの…? 「…やはり、私には…」 「あー…やっぱこんなバカじゃだめかぁ…」 「自分で認めるんですね…」 「いや…そういう訳じゃない…」 「…私は一度主に捨てられている」 「うん、ここはそういう萌えもんを保護して新しい出会いを支援する場所らしいね」 「私は前の主を信頼していた…だが、捨てられたしまった 私は何か間違いを犯してのだろう…そうでなければ捨てられることなど…」 「それはどうだろう」 「?」 「キミが間違いを犯したとは言い切れなかったんじゃないかな? やむにやまれぬ事情があったとか…」 「だが…」 「その理由を確かめることは出来る、キミが此処を出れればの話だけど」 「…私がここを出る理由にしろと?」 「まぁそんな所かな? キミは出て前の主がキミを捨てた理由を確かめられる 俺は美しい萌えもんをゲットできる 悪い話じゃないだろ」 「…」 「前の持ち主はホウエンに行ったそうよ 追いかけるならそっちから当たった方がいいわ」 エアームドは彼に着いて行く事に決めた 元のトレーナーを探してホウエンに行くそうだ 「お元気で」 「お姉ちゃん、病気とかしないでね」 パウワウとシェルダーからはねぎらいの言葉 「ふっ…まぁ、よかったじゃないか 愛しの主様を追えるんだ まぁ…頑張れよ」 ゲンガーからは皮肉交じりの激励を受ける 「何かあったら連絡しなさい 出来る限り力になるわ」 「本当にありがとう… では、行ってくる」 「行っちゃいましたね…」 「見つかるかな?お姉ちゃんの」 「さぁ、どうかしらね」 「…見つかるさ、アイツがあんだけ頑張ってるんだから」 出会いと…そして別れがある 此処はそんな場所 別れの先にどんな未来が待っているんだろうか ハイ、後半gdgdですorz 新配布パッチのエアームドがかわいすぎるんです(ぇ
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彼女との出会いは、三ヶ月ほど前。 彼が休暇中にアメリカの某都市を訪問していた時に遡る。 学生時代の友人(男)に休みが取れそうだから行かないかと誘われたのだ。 滞在期間は五日。 観光地に行ったり行かなかったりしつつ、のんびり過ごすつもりだった。 その、三日目のことである。 二人は落ち合う時間だけを約束して、別々に町中をぶらつくことにした。 とはいえ彼、宮田李白には何がしたいという当ても特になく、 人通りが多い市場を歩いていた。 その日は一日中晴天で、そぞろ歩きをするには好都合だった。 観光地ではない場所の方が彼は好きで、市場はその格好の的だったのである。 見慣れた野菜も見慣れない果物も、一緒くたに並べられている光景。 屋台から漂ってくる、香ばしい香り。 活気溢れる人々の声。 気前の良い店主は味見もさせてくれる。 彼は五感でこの市場を感じていた。 そんな折り、彼は何とはなしにある青果の屋台に目をやった。 人柄の良さそうな大柄の店主が、目の前の女性に話しかけている。 一方小柄な白い長髪の女性は何も反応を見せていない。 彼女はおもむろに両手を前に出す。 それぞれに林檎と洋梨をつかむと、さっと向きを変えて逃げ出した。 店主の声が聞こえたのと、李白が女性の窃盗に気付いたのがほぼ同時だった。 運良く、盗人は李白の方向に突進してきている。 泥棒が目の前の男を避けようと方向を僅かに変えたのに合わせて、 李白も素早く体を横にずらす。 女性は避けきれずぶつかったが、男は体格差のため全く動じない。 李白はそのまま盗人の両肩を押さえつけた。 しかし彼女も捕まるまいともがき罵声を浴びせてくるが、 残念ながら李白には日常会話程度の英語しか分からなかった。 そうしていると、店主がすごみを利かせた表情でやってくる。 「観念するんだな。泥棒はいけないことだぞ」 理解してもらえないとは思いつつも、李白は日本語でそう語りかけた。 言いながら女性を見下ろすと、目が合った。 するとどうしたことか、急に眠気に襲われ、 盗人を押さえつけていた腕の力が抜けていく。 これ幸いと、女性は腕を振りほどいて雑踏の中へと姿を消していった。 こうなってしまうと、店主は泥棒に構うどころではない。 目の前で倒れた観光客を介抱する他はなかった。 意識をなくしていたのはほんの数分で、 目を覚ました時も何ら身体に異常は見られなかった。 店主にThank you, I m all right.とだけ言ってから再び雑踏へ繰り出す。 しかし李白は数分前までの調子ではなく、 まるでずっと夢を見ているような気分にとらわれていた。 ホテルに戻っても、彼は昼間の出来事を友人には話さないでいた。 どうせ信じてもらえないと思ったからである。 友人がシャワーを浴びている間、彼はベッドでずっとその事を考えていた。 とその時、何かを叩く音が三連続でした。 ……確かに、窓の方からした気がする。 だがここは五階である。窓の外に人がいるはずはない。 するともう一度、今度はやや強く、叩かれた。 間違いなく、そこに誰かがいるのだろう、窓ガラスを叩く音だった。 思い切って厚手の青いカーテンを開けると、そこには――昼間の女がいた。 夜を背景に浮かぶ白い服は、神秘的でさえあった。 李白は慌てて窓を開ける。冷たい外気が入ってくるが、気にしない。 見間違いではなかった。目の前に、あの盗人が浮遊している。 彼はどういう反応をすればいいのか分からず、とりあえず 「G...Good evening!」 「日本語でどうぞ」 女性は澄んだ声でそう返した。 「なんだ、分かるのか。発音も随分上手だが、誰に教わったんだ?」 女性とはいえ犯罪者である。 不思議な力で眠らされた危機感から、彼は最大限の警戒をしていた。 「誰にも。私は、全ての人間と萌えもんの言葉を話せるから」 「全ての?」 「そう、例外はない。私は、そういう萌えもんだから」 部屋の明かりに反射して、彼女の赤い目が光る。 「そんな凄い萌えもんが、一体僕に何の用だ? まさか、仕返しに来たんじゃ……」 「違う。あなたが日本人だから」 「意味が分からない」 「私を日本に連れて行って」 聞けば、彼女には主人がいないらしい。 それでも言えない事情で日本に行かなければならない。 だから、日本人旅行者である李白にわざわざ会いに来た、という訳なのだ。 「つまり、僕が君の主人になって一緒に帰国したいと」 「物わかりが良くて助かるわ」 「良いとは一言も言ってないが。 僕には萌えもんが一人いるんだ。 これ以上増やすつもりはないから、悪いけど他を当たってくれ。 ところで君は本当に萌えもんなのか? 見たことのない姿格好だけど」 すると女性はふ、と口元に笑みを浮かべてから、こう言った。 「あなたは、アルセウスを知っているかしら」 「な……」 友人がシャワールームから出てくる音が聞こえたので、 萌えもんの女性は飛び去っていった。 「李白、寒くないのか?」 背後からの友人の言葉を聞いて、李白はようやく正気に返る。 「ああ、そろそろ閉めるか」 その翌日、李白は友人と町を周遊しながらも見えない何かを感じていた。 「ねえ、お兄さん達」 それが姿を現したのは、二人が夕食のレストランを探している時である。 「私とお食事でもしません?」 真っ白な服を着た女性が、背後からそんな風に声をかけたのだ。 「なあ、李白」 しかも道のど真ん中で、だ。 「どうした、大輔」 「まさかアメリカに来て美女から逆ナンされるなんて思わなかった」 「無視していいよ、こいつは」 李白は女性を無視して歩き出す。 しかし萌えもんの女性は食い下がった。 「待って下さい! お礼がしたいんです!」 昨日の態度とは打って変わって、ずいぶんと下手に出ている印象を受ける。 「なんだ李白、知り合いか?」 彼女の視線は李白へと注がれていたのだ。 こうなってしまったら、無視を決め込むのも難しい。 「お食事代は全部私が出しますから、せめてお話だけでも」 今日の彼女は可愛らしいポーチを持っていた。 それを半分開け、大輔にその中身がドル札の束であることを示す。 「せっかくだからお言葉に甘えても良いんじゃないか? 日本語がこんなに上手く使えるってことは同郷だろうし」 「その金、スリで稼いだものだよ。 だったらなおさら世話になる訳にはいかないじゃないか」 女性は黙ったまま否定しなかった。 「マジかよ……」 「逃げるぞ!」 若干の人通りがある歩道を、二人は走った。しかしだ。 「待って、話だけでも聞いて」 瞬間移動でもしたかのように、いつの間にか二人の目の前に姿を現すのだ。 「私そんなに難しいことお願いしてないでしょう」 そのたびに方向転換をするから、彼らは走りながらほとんど動いていなかった。 体力が尽きるのも時間の問題と気付いた李白は、走るのをやめた。 「その気になってくれたようね」 「仕方ない……付き合うよ。 僕たちをどこかに誘導するのならともかく、 同じ所を行ったり来たりさせるだけってことは、 少なくとも危害を加えるつもりはないみたいだからな」 「物わかりが良くて助かるわ」 「ただし、君は一セントも払うなよ」 三人は庶民的なレストランで食事をすることになった。 結局、彼女の言い分は昨夜李白に言ったのと同じである。 彼女がアルセウスという萌えもんであること、 日本に向かわなければならないこと。 「李白、アルセウスって萌えもんは本当にいるのか?」 「『創世記』の中で語られる、この世の全てを創造したとされる萌えもん。 それがアルセウス。伝承にしか登場しないのかと思っていたけど。 もしもそうなら、君は一体どの妹なんだ?」 「私の属性は、『悪』」 「それと、アルセウスともなれば、 ここから日本までひとっ飛びで行けると思うんだけど」 「お姉様や、『空』の妹ならばまだしも、私にそこまでの能力はない。 人間の振りをして飛行機に乗ろうにも、人間じゃないからパスポートはないし、 かといって萌えもんだけで飛行機には乗れないし」 彼女の前に置かれているのは、オレンジジュース一つきりだった。 ストローでかき混ぜると氷がカランと音を立てる。 同じテーブルに置かれているステーキとスパゲッティには、 全く興味を示していなかった。 「出来ない話ではない、けどな……」 彼女を自分の萌えもんとして日本まで一緒に搭乗するのは不可能ではない。 だが、彼らはすでに帰りのチケットを予約している。 この萌えもんを連れて帰るためにはそれをキャンセルして、 下手をすれば滞在期間が一晩延びかねない。 そこでアルセウスはこれ見よがしにポーチを示す。 しかし二人とも、スリで稼いだ金を使うことには抵抗があった。 「なあ李白、ちょっと思ったんだけどよ」 「ん?」 「もしこいつが本当に世界を創造した萌えもんなら、 どうして俺たちに正体を明かすんだろうな?」 「脅迫するためよ。 私がアルセウスと知ったら誰も逆らおうとはしないでしょう。 もし要求を呑まなければ……殺すよ。 さっきの『しんそく』を見たでしょ?」 確かにあの身体能力は、人間のそれではない。 萌えもんが持つ潜在能力は人間を遥かにしのぎ、 命を落とす事故も毎年起きている。 もし萌えもんが悪意を持って人間に襲いかかったら 人間になすすべはない、ということだ。 彼らは、悪銭でチケットを取り直すことを決めた。 幸いにも、出発予定日の夕方の便で帰ることが出来た。 その時にアルセウスは初めて、自身がエヴィールという名であることを明かした。 「自分で付けたのか? それとも」 「教えない」 そうして彼らは、十時間を超えるフライトを共にすることになった。 だがどうしてか、日本に着いたというのに、 入国ゲートをくぐってもエヴィールは二人から離れなかった。 「約束したのは日本に連れてくるところまでだから、 もうどこに行っても構わないんだよ?」 李白の言葉に、アルセウスは答えない。 たまたま行く先が同じなだけだろうと思い、 二人の人間はそのままスーツケースを引いていく。 だが都心へ向かう電車の切符を買おうかという段階になっても、 相変わらず彼女は真後ろにいた。 「まだ何か言いたいことが?」 「リハク、あなた、萌えもんの教授だって言ったね」 「言ったよ」 「なら困っている萌えもんは助けるのが当然ね」 「は?」 「日本に来ることばかり考えていて、その先のことは――」 「悪いけど、もう一人増やすつもりはないよ」 隣の友人に目配せすると、彼も首を振って拒絶を示した。 「――スリをして生きていくつもりだった」 李白には、彼女の言わんとすることが分かってしまった。 窃盗で生きてきた彼女から生業を取り上げたのは李白だから、 彼自身が面倒を見ろ、と。 「それに教授ならば、くっついていればいつか お姉様の手がかりを得られるかも知れないし」 「もしかして日本に来たいと言ったのは、そのお姉様―― 最初のアルセウスに会うためか?」 「そう。日本から来た萌えもんから、 アルセウスが何人か日本にいるという噂をね。 誰かしらに会えれば、お姉様に近づけると思ったの。 私たちは、お姉様に会って謝らなければならないから」 そこで李白は、創世神話に描かれた妹たちの戦乱のくだりを思い出した。 長姉、ノーマルタイプのアルセウスは、そんな妹たちを罰するため、 あるいは戒めるため、あるいは争わせないために封印したという。 そうしてから自身も眠りについたのだが、 その封印も眠りも、期限付きのものだとされている。 「じゃあ僕が君を連れていれば、 いつか最初のアルセウスに会えるんだね?」 「それまで生きていられればね。私たちの命は、永遠だもの」 エヴィールは皮肉的な笑みを湛えて、目の前の男を見ていた。 そんな彼女の姿はやはり、今まで絵画に表現されてきたアルセウスそのものである。 オシャレのために服や髪型を替える萌えもんはいるが、 髪の色を変えるものは萌えもんとしてのアイデンティティをなくさせるのでいない。 全体が真っ白な中に襟足から黒が混じるその髪は、 彼女が創造神の妹であることを物語っていた。 李白は、右手を彼女に向けて差しだした。 「いいのか、李白。お前にはアリアが……」 「なんとかするよ」 エヴィールはその手を左手で取り、甲にキスをした 「世話になるのだから、このくらいは当然でしょ。 あと、私のことはエヴィと呼びなさい」 (誰が名付けたのかは知らないけど、エヴィールって名前、 きっとdevilから取ったんだろうな) ダークライが出て行った窓にもたれるアルセウスを見ながら、 李白はふとそんなことを思った。 「リハク、あんみつ食べたい」 「今の時間は混んでるから、あと三十分くらい待った方が良い」 以前レストランに行ってあんみつを食べたところ、 彼女はそれをいたく気に入ってしまったのだ。 以来、こうしてねだられることがしばしば。 ちなみに彼女は人目を避けたがる様子がない。 アメリカでも市場で普通にしていたのだから、当然ではある。 今日ではアルセウスの風貌どころか存在すら知らない者が多いし、 知っていてもアルセウスの格好をした馬鹿者としか見なされない。 萌えもんは彼女が偉大な存在であることを本能で察知できるが、 逆にそのことを口に出すようなこともないのだ。 エヴィはその事を理解している。 とはいえ李白にとってはそうではない。 彼にとってエヴィが何者なのか、説明するのが厄介なのだ。 身近にエヴィの存在を知るものが少なく、 大輔以外にアルセウスであることがばれていないのが幸いである。 今後もできる限り人目は避けたかった。 そうして時間は過ぎ、昼休みが終わろうかとした時、 窓から黒い萌えもんが飛び込んできた。 物理的に入ってきたから、ダークライではない。 立ち上がったそれは、黒い帽子と黒い翼を持つ、ヤミカラスの少年だった。 「アルセウス様、ご報告が」 ダークライ同様跪いて、恭しく告げる。 「何かしら」 「『空』の妹君がこちらに向かわれているとの噂が」 エヴィはこの少年の処遇を数秒考えてから、 「そう、ありがとう。報告はそれだけ? なら下がりなさい」 ヤミカラスははっ、と返事をしてから飛び去っていった。 「飛行タイプの妹って言ったら、最初の妹の一人じゃないか」 「それは神話の中ででしょ。順番なんて誰も知らないわ。 それより今の報告、不自然じゃなかった?」 「どこが? 探していた仲間に会えるんだろ?」 「自分が会う前に使いをよこしたのが怪しい。 『空』の妹がヤミカラスより早く飛べないなんてあり得ないわ。 これは、私の反応を試しているとしか……」 「それもそうか。で、どうするつもりなんだい、エヴィ」 「無視して良い。向かっているんなら、向こうから来るでしょ。 それより今は、あんみつが食べたい」 「じゃあ、そろそろ行こうか」 ちなみにアルセウスは、燃費がかなりいいので食事はほとんどなくても 生きていられるらしい。 だから彼女にとって甘味はエネルギー源よりも娯楽の意味合いが強かったりする。 ダークライは、君島公平が午後の講義を聴いているのを窓の外から監視しつつ、 主人が嬉しそうに校門をくぐって行くのを横目に見ていた。
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旧ドラえもん (1)第1467話 「のび太がスネ夫?」 (2)第1559話 「空想動物 サファリパ ークで大冒 険」 Part1 (3)第1559話 「空想動物 サファリパ ークで大冒 険」 Part2 (4)第1612話 「ほんもの だゾウ」 (5)第1245話 「ファンタ 爺ヤ」 (6)第1247話 「ツモリガ ン」 (7) 第1145話 「百鬼せん こう」 (8)第0656話 「コピー頭脳でラク� �しよう」 (9) 第1025話 「へやに自 然を」 (10)第1027話 「無人島は ボクの島」 選択肢 投票 1 (3) 2 (1) 3 (0) 4 (0) 5 (0) 6 (0) 7 (0) 8 (0) 9 (0) 10 (0)
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うちの施設(この言い方は好きじゃないが)には二つの役割がある。 ・近所の子どもや萌えもんを預かる保育所の役割 ・捨てられた萌えもんを一時的に預かる養護施設の役割 後者の役割は個人的には必要ないと思っているが、事実そういった子が何人もいるのでいまさらやめる訳にもいかない。 施設の管理者はグレンのジムリーダーの桂さん。 だがこれは俺がフジ老人が死んだ当時、未成年だったせいなので実際には俺が全部運営している。 職員は2人。俺とランターンだけである。これはあとから3人になるわけだが。 カラカラは職員と言うよりは面倒をみられるがわなので別だ。 2人だけといっても引き取り手が見つかっていない娘が手伝ってくれるのでそんなに苦になっていない。 今回はその中の1人で、今は俺の手持ちの1人、オオタチの話。 あいつがうちに来たのは、フジ老人が死んですぐの頃。 俺が引き継いでからの第1号ってところか。 最初はどの子も無口なんだよな。カラカラほどじゃないが。 こいつも同じで最初は無口だったが、だんだんと話しをするようになった。 いや、話すようにはなったがランターンやほかの子たちと話すだけで俺とは話しをしてくれなかったか。 やっとしゃべったのが来てから1ヶ月たった頃。 「先生!飲んだ後のコップは片付けといてくださいってランターンさんがいってたでしょう?!」 「あ…ごめんなさい…」 「わかったら、すぐ行動してください!」 ちょっとびっくりしたね。普通に謝っちゃたし。 いやね、はじめてしゃべってくれたと思ったらこのやり取りですよ。 わりと高飛車なしゃべり方なんだなとか、思う間もなかったし。 本人いわく「だらしなさに耐えかねてつい」だと。 それからはなにかと細かいことでおこられたなぁ。 「ちょっと!男の方の洗濯物たたんどいてって言ったじゃない!」 「う…忘れてました…」 「まったく…もっとしっかりしてほしいわ…」 ぶつぶつ文句を言ってくるオオタチ。 怒ってるようにも見えるけどそれを楽しんでるようにもみえる。 でもその性格のせいで損をすることも多いようだ。 よく、けんかしているところを見る。 大体はランターンが間に入ってくれて収まるが。 そんなある日、ランターンにお使いを頼み、それにカラカラもついていってしまったもんだから困ったことになった。 自室で資料のまとめやらをしていると、預かっている子の1人が焦った様子で入ってくる。 「どうしたんだー。入るときはノックを…「オオタチのねーちゃんが!」」 すぐにその場にむかう。 見ると、おそらく野生であろうゴルバットとオオタチが戦っていた。 「あいつが急にやってきてコダックに襲い掛かったんだ!」 「ねーちゃんが庇ってくれたけど、今度はねーちゃんが!」 「わかった。おまえらはうちの中入ってろ。オオタチ!戦えるのか?!」 「私を何だと思ってるのよ!それよりほかの子たちを!」 「もう大丈夫だ。それよりもだな…」 「ああもう!少し黙ってて!」 まるで俺への怒りをぶつけるような“たたきつける”。 ちょっと怖かったね。 「ふう。これだけやれば…」 「オオタチ!逃げろ!」 「え…?」 倒れたはずのゴルバットがオオタチにかみつく。 「う…!こ…の!」 どうにか離れることができたオオタチ。 でも…一撃もらっただけにしてはすごく消耗している。 まさか… 「“どくどくのきば”…?やばい!オオタチ、逃げろ!」 「逃げろって…どうやって逃げるのよ…」 オオタチに襲い掛かるゴルバット。 その時、後ろからゴルバットに向かって電撃が当たる。 「…!ランターンか!」 「ぎりぎりセーフでしたか?」 「いや、微妙だ。俺はオオタチつれて萌えもんセンターいくからあとお前らにまかすぞ!」 「オッケーですよ~」《まかせろ》 俺はダッシュで萌えもんセンターにむかう。 それにしても消耗がはげしい。……よし。 「ん…。ここは…」 「よう。目ぇさめたか」 「先生…。そうだ!あいつは?!みんなは無事なの?!」 「落ち着け。みんな無事だ。お前のこと心配してるよ」 「そう…だったの。よかった…」 「あー、それでなんだがな」 「…?なんですか?」 「毒受けたの直すときにだな、ボールにいれてマスター登録しちゃったんだよ」 「え…?ってことは先生が今、私のマスター?」 「まあ、そういうことになるかな。で、どうする?」 「どうするって、なにがです?」 「俺についてくるか、それとも別のマスターを探すか…ってなんか前にもあったなこんなやり取り」 「…は?今初めて聞きいたわよ?」 「いやこっちの話だ。で、どうするか考えとけよ」 「そんなの考える必要ないわ」 「えっ?」 「男はですね、『黙って俺について来い』って言えばいいの。先生は押しがたりないんです」 「ん~、なんで怒られてるかはわからんがそれはつまりついて来るってことでいいのか?」 「まあそういうこと。……それに先生なら(ぼそっ)……」 「なんか言ったか?」 「な、なんでもない!!なんでもないんだから!!」 「?そうか?」 まあこんな感じでオオタチは俺らの仲間になった。 仲間になったつってもしていることはいつもと変わらない。 これからもなにか忘れたり失敗したりするたびに口やかましく怒ってくれるだろう。 「先生!またコップ片付けるの忘れてるわよ!…もうしかたのない人ですね」 ~後書き~ 半恒例となった後書きですよ。 今回本当は短くまとめようとしてましたが、気づけばいつもの様に長くなってしまいましたとさorz 後はいつもの設定を。 オオタチ 作者のオオタチはツンツンな性格です。(ツンデレパッチ使用) 大体の場合、自分が捕まえた娘と同じ性格にしようと努力はしています。 …どこでツンデレっぽくなったんだろ。 正直しゃべり方は一番苦労しました。 最初は「~ですわ!」みたいな感じだったけどバトルのあたりで崩壊。 全部修正して今の感じになりました。 萌えもんハウス 自分のなかでは最初に書いた通りの施設かと。 大分自分の考えとか混ざりまくりですが。 特に個人的に~は主人公の気持ちでありながら作者の考え方です。 萌えもんとか子どもとか捨てるための施設なんか必要ない! でも事実として存在する。そんな矛盾。 もっといろいろと考えてほしいのですよ。 最後は愚痴みたいになってしまいましたが、ここまでということで。 次回でまた会いましょう。では。
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前回のあらすじ 引き分けた!! 先日、クチバのジムを制覇した俺達は 次にどこを目指そうか話し合ってる最中だ。 この辺りまで来ると道がいっぱいあるからなぁ。 マスター「いっぱいルートあるし、どこいこうか迷っちゃうね」 ギャラドス「とりあえず全部行ってみるのがいいんじゃねーの」 マスター「きちぃwww」 フーディン「目的がアバウトな以上それしかないと思います。」 フシギソウ「何をするかは町についてから探せばいいよね」 ギャラドス「街に来てから目的探しって、RPGでよくあるよな。 あれなにすりゃいいか分からんから迷うんだよ・・・」 マスター「最近は○○だから○○にいこーぜって流れの方が多いがな」 ピカチュウ「なんの話よ。」 フシギソウ「マスター、どうします?」 マスター「うーん・・・」 このままでは俺合わせて5人しかいないのに 小田原評定で終わってしまう。 どうしたらええねん。 ???「あ、いたいた!元気にやってますか?」 フシギソウ「あなたは・・・」 助手「僕ですよ、オーキド博士の助手です」 相変わらず神出鬼没な人だな。 いや、ちょっとまて、この人は以前の助手と同一人物なのか? 皆似たような顔してるから頭がこんがらがってきたぞ。 俺は考えるのをやめた。 助手「他の助手には会いました? 博士からあなたへの贈り物を持って出かけたはずなんだけど・・・」 マスター「存じませぬ」 助手「2番道路あたりできみを探すって言ってたからそのへんかな? もし2番道路に行ったら探してみてよ!それでは僕はこれで!」 フシギソウ「わざわざありがとうございますー」 ピカチュウ「目的地ができてよかったじゃない」 マスター「まさにワタリにLだな」 ギャラドス「死神は林檎しか食べないらしい」 フシギソウ「??」 これで一応目的地ができたってとこか。 それじゃ2番道路目指してみるとしよう。 マスター「んで、2番道路ってどうやって行けばいいの?」 フーディン「11番道路にあるディグダの穴を抜けていくと2番道路に着くようです。」 マスター「把握」 一同ディグダの穴へ向かう。 ディグダは比較的おとなしい萌えもんらしい。 それならこれといった危険はないだろう。 ・ ・ ・ 「たまげたもんだ!このながーい洞窟!ディグダが掘ったんだと! トキワシティまでつながっとるそうだ!」 マスター「これ全部萌えもんの力だけで掘ったってのか・・・」 ギャラドス「すげーな」 萌えもんって本当にすごいな。 自力で洞窟作ったり、超能力使ったり、空飛んだり フシギソウ「あ、マスター、あれがディグダじゃないですか?」 フシギソウが指した先には 地面に体を潜り込ませながらのそのそと 移動してる萌えもんがいた。 なるほど、あれがディグダか。 ピカチュウ「おーい、そこのディグダー!」 ディグダ「ん、私?」 フシギソウ「えっと、道を尋ねたいんだけどいいかな?」 マスター「後お付き合いを前提に結婚してください」 ゴスッ! ギャラドス「ややこしくなるから入ってくんな」 マスター「ホゲェー」 ディグダ「この穴に他の萌えもんとトレーナーが来るのは久しぶりだね。何の用?」 ギャラドス「この穴を抜けたいんだけどどう進めばいい?」 ピカチュウ「もし、道が別れてて、行き止まりにあったりしたら困るもんね。」 ディグダ「それなら道なりに真っ直ぐ進むといいよ。 そんなに長い穴でもないから直ぐ辿り着くはずだよ。」 ギャラドス「おk、サンキュー」 ピカチュウ「ありがとね」 親切なディグダに道を教えてもらい、 ついでに図鑑登録もばっちり済ませ 俺達はディグダの穴を抜けた。 穴を抜けた直ぐ先の休憩所で助手を発見。 さっそくコンタクトをとる。 助手「僕覚えてます?ほら・・・!オーキド博士の助手です」 マスター「覚えてますとも」 助手「萌えもん図鑑が10種類集まってるようなら 秘伝マシン05をわたすよう博士に言われました。 ・・・・・・それでは早速、捕まえた萌えもんは10種類より多いかな?」 マスター「YES!YES!YES!」 助手「・・・・・・なるほど!捕まえた萌えもんは・・・ 25種類ですね!それではこれをお渡しします!」 贈り物ってのは秘伝マシンのことだったのか。 秘伝であるからには何か役に立つんだろうね。 助手「秘伝のフラッシュでどんなに暗い場所でも バッチリ明るくなります。」 フシギソウ「いつもご苦労さまです。」 助手「いえいえ。」 マシンを貰った俺達はディグダの穴を抜け再びクチバに戻った。 萌えセンで一旦休憩。さて、これからどこに行こうかね。 マスター「というわけで地図を広げてみたわけだが」 フシギソウ「どこに行けばいいのかな?」 ピカチュウ「えーっと、クチバがここで・・・近くでまだ行ってない街と言えば・・・ このヤマブキシティはどう?」 フーディン「そこは現在、街が封鎖されており進入不可となっています。」 ギャラドス「そんじゃ、12番道路を抜けてシオンタウンにいくのは?」 マスター「最近居眠り萌えもんが進路の妨げになってて通行不可なんだってさ」 フシギソウ「それじゃちょっと遠回りになるけどハナダシティから シオンタウンを目指すのはどうかな?」 フーディン「今のところ目指せる対象と言えば、それぐらいでしょうね。」 それならちょうどいい。 ついでにハナダシティでぼったくりミラクルサイクルから 自転車をふんだくってやらんとな。 マスター「んじゃ決まりだな。俺達は立ち止まっちゃだめなんだ! さながら回遊魚の如し!」 ギャラドス「自業自得で目をやられて この街を立ち往生した奴のセリフじゃねぇな。」 ピカチュウ「私たちが回遊魚なら、とっくに死んでるわよ。 マスターのせいで」 マスター「(´;ω;`)」 フーディン「では、まずはハナダシティへ向かいましょう。」 フシギソウ「マスター、元気出して!」 マスター「うぇーんみんながいぢめるぅ~」 フシギソウ「よしよし」 ギャラドス「最近フシギソウに一抹の母性を感じる件」 ・ ・ ・ マスター「ひかえぃ!ひかえぃ!この引換券が目にはいらぬかぁ~。」 店員「へへぇ~」 ギャラドス「ノリノリだな」 というわけで自転車ゲット! マスター「でも俺はみんなと歩きたいから使わん!」 ギャラドス「じゃぁいらねーじゃん」 マスター「なんか後々必要になるからって天のお告げがあった。」 ピカチュウ「マスターが壊れた。」 フーディン「ほっときましょう。 さて、ここからシオンタウンを目指すわけですが。」 ギャラドス「なんかあんのか?」 フーディン「イワヤマトンネルと言う洞窟を抜けなければなりません。」 マスター「うへぇ、また洞窟かいな」 ギャラドス「しょうがないだろ。」 マスター「行くしかないか、んじゃイワヤマトンネル目指して出発!」 俺達はイワヤマトンネルを目指し東へと向かった。 道中にあった木もフシギソウたんのいあいぎりでなんなく越えた。 ギャラドス「この辺りもトレーナーがたむろってるな」 フーディン「確かイワヤマトンネルの麓にも萌えもんセンターがあった筈です」 んじゃ、みんなの力を温存する必要もないな。 心置きなくバトルできるど。 マスター「よっしゃ!遠慮なく蹴散らしてやれぃ!」 ギャラドス「おー!」 勝機は我らに有!(根拠ないけど)突っ込めー! 続く・・・
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無人発電所に一番近い萌えもんセンター――イワヤマトンネル付近までリザードンに乗っていった、俺、ガラガラ、イワークに対し、 陸路でそこまで行くと言い張ったギャラドスのせいで、20分ちょっとはギャラドスが来るのを待たされることとなった。 ハナダシティでのことといい、今さっきのことといい、随分と時間がかかってしまったが、 ようやく俺たちは目的地の無人発電所にたどり着くことが出来た。 「それではな、主。また何かあったのなら呼んでくれ」 「ああ、ありがとな、ギャラドス」 「ギャラドスさん、さようなら~」 良い意味でも悪い意味でもここまで世話になったギャラドスにまたしばしの別れを告げる。 別れが相当辛いのか、少々涙ぐんでるリザードン。 ギャラドスは俺たちに微笑むと、水の中へと姿を消していった。 ギャラドスの姿が見えなくなったことを確認すると、俺はギャラドスに向けて振っていた手をゆっくりと下ろし、 後ろを振り向き、目の前にそびえたつ建造物を見上げた。 ――――無人発電所。 その名のとおり、管理する人が一人もいない発電所。 そのくせして、カントー全域へ電気を送っているという、とても重要な場所である。 本当に管理する人がいないようで、建物のところどころにはツタが絡まっていて、 窓ガラスも割れている。 入り口のドアはどうやら自動ドアのようだが、開いたままだ。 「本当に、無人みたいね」 俺の隣で同じように無人発電所を見上げてたガラガラが呟く。 「らしいな……よし、ここで立ち止まってるわけにもいかないしな。 中に入ってみよう」 意を決して、俺を先頭にして中に入る。 この先に何が待ち構えているのなど、見当もつかない。 でも、いずれ対峙するであろうサンダーとの戦いを考えると、 恐怖と高揚感が、胸を渦巻いていった。 発電所の内部も外見同様、ところどころの壁が崩れていて、そのせいか足場が狭い。 それなのに、発電機は稼動しているらしく、起動音が響いている。 聞こえるのは俺たちの足音のみ。 さらに起動音も加わって、不気味さを際立たせる。 「……誰も、いないみたいですね。野生の萌えもんも」 俺の背後でリザードンが恐る恐る口を開いた。 「さあね。もしかしたらもっと奥の方にいるかもしれないわよ」 リザードンの後にはガラガラ。 「でも、気配すら感じませんが……」 最後尾にイワークがいる。 この二人はちょっと怯えているリザードンとは対照的に、冷静である。 「確かに……野生の萌えもんが出てきてもおかしくない状況だけどな、こんなに荒れてるっていうのに」 俺は一歩一歩、足元を確認しながら進む。 そして、野生の萌えもんの気配に意識を集中させる。 無人発電所はとても入り組んでいるから、いつどこからか不意に現れてもいいように、心の準備諸々はしておく。 ――――ぱしっ。 「……?」 今、どこかで音が聞こえた。 「今の音……なんでしょうか?」 「前の方からしたけど、イワーク、聞こえた?」 「うん、微かに……何かを叩くような音が」 皆も聞こえていたようだ。 一体何の音だ?そう模索しようとした矢先、 「――よし、きあいちゅうにゅう!」 今度は幼い、女の子の声が聞こえた。 どうやらこの先……曲がり角の向こうから聞こえるようだ。 「一体なんだ――――?」 誰か、俺より先にここへ来たトレーナーがいるのか? それとも――――萌えもん? トレーナにしても、萌えもんにしても、戦闘の準備をさせておく必要があるな。 不安を抱きながら、先へと進む。 リザードンに戦闘の準備を指示させて。 そして、突如―――― 曲がり角から、何かが飛び出してきた! 「なっ!?」 どうやら容姿からして、萌えもんのようだ。 その萌えもんは、物凄い勢いで、俺たちの方へ突進してくる。 神経は張り巡らせていたが、あまりに唐突なことに、頭が混乱する。 「あ……っ、えーっと」 「マスター、指示を!」 リザードンの叫びに混乱していた頭が冷静になる。 そうだ、指示、指示…… 「リザードン、きりさく!」 慌てふためきながら指示をする。 しかし、指示をするのが遅かったか、野生の萌えもんは俺のすぐ傍まで迫ってきてる。 萌えもんが持っているパワーがどれくらいなのかは知っている。 下手をすれば、中型ぐらいで骨を折る勢いのパワーだ。 くそ、万事休すか―――― 来るべき衝撃に備えて、目を瞑り、腕を前に出して防御の体制をとる。 しかし、衝撃は一向に来ない。 「……?」 「マスター、えーと、どうやら大丈夫のようです……」 リザードンの声に俺は恐る恐る目を開け、腕を元に戻す。 そこには、さっき突っ込んできた萌えもんが、俺の目の前に立っていた。 「……あれ?」 見たことが無い萌えもんだった。 俺はポケットの中から萌えもん図鑑を取り出して調べてみる。 「……お、あった。えっと……エレブー? 未捕獲、か」 目の前の萌えもん――――エレブーに目をやる。 うつむいていて、顔は見えないが、 背丈は俺の胸元あたりだから……150センチくらいだろうか? それにしても、さっきからうつむいたばっかだし、戦闘も仕掛けて来ないあたり、何かあったのかな。 もしかして、サンダーに追われていた、とか―――― 「あの……」 俺の呼びかけに応えたのかは分からないが、エレブーはうつむいてた顔をようやく上げた。 あどけなさが残っている。まだ子供だろうか? 「お前、トレーナーだな?」 突然少し強張った顔で、エレブーが口を開く。 さっきと同じような、幼い声。 俺を見て怖がっているのか、その声には緊張が混じっている。 「ああ、トレーナーだけど」 登場するや否や、突っ込んでくるし、 その後は質問をしてくるエレブーの予想外の行動に、ちょっと動揺の色を隠せない俺。 さらに、俺がそう答えた後、 「連れてけ」 「……は?」 いきなり連れてけって、しかも命令形って。 自分から捕まりに来る野性の萌えもんとか初めて見たぞ。 「いいから連れてけ、サンダーが目当てなんだろう?」 「サンダー? お前、サンダーを知ってるのか?」 エレブーはわざとらしく、大きく頷く。 「知ってる」 「ホントか? で、サンダーはどこにいるんだ?」 「教えない」 「教えないって、どうやったら教えて――――」 「連れてけ」 「いや、教え――――」 「連れてけ」 「おし――――」 「連れてけ」 「……」 結論、自分を連れてけ、ってことらしい。 なんだか、こういう奴、ついさっきも会ったような気が――――気のせいかな。 それにしても、どうして自ら捕まりに来るのか。 捕まったら嫌がるもんだろ、普通。 きっと何か理由があるからか? だとしたらどんな理由がある? 例えば…… つか、自問自答したところで分かるはずが無い。 ここは本人に聞いてみたほうが一番だろ。 「なあエレブー、俺たちと一緒に行動したい理由とかあるのか?」 「……! それは――――」 この反応。 何かしら、理由があるってことは確かのようだな。 まあ、今ここでしつこく言うこともないだろう。 それに、連れてけって言われて、断るのもなんだかかわいそうだしな。 「分かった。連れてくよ」 「ホントか?」 「ああ」 俺の返事を聞いて、さっきまでの緊張がほぐれたのか、エレブーは笑った。 屈託の無い笑顔。見ていて癒される。 「よ、よかった、えっと――――」 「好きなように呼んでくれ。 一応皆からは、マスター、って呼ばれてるけどな」 俺はそう言って、エレブーの元へ手を差し出す。 「うん、よろしく、……ま、マスター」 エレブーはそう言うとはにかみながら、俺の手を握ってくれた。 突然加わった新たなる仲間、エレブーを加えて、 俺たちは順調に無人発電所の奥へと進んでいった。 「エレブー」 「なに?」 俺は前を進んでいるエレブーを呼び止めた。 「そういや、エレブーには皆の紹介、してなかったな」 「あ……」 「えーっと、まずはチームの主力、リザードンだ。 ……って、リザードン?」 リザードンはガラガラの後にしがみついて隠れていた。 しがみつかれているガラガラは正直嫌だ、と言わんばかりの顔。 「……何やってんだよ」 「だって、でんき、でんき……」 「ああ、リザードンはひこう……だからでんきは苦手、ってか? 怖がる必要は無いだろ? もうエレブーも俺たちの立派な仲間だ。な、エレブー」 「う、うん……なにもしないよ」 「そ、そうですか? ……そ、そうですよね」 恐る恐る前に出て、エレブーの元へ近づくリザードン。 「あ、あの……よろしくお願いします」 そーっと、手を差し出すリザードン。 ちょっと怖いのか、差し出した左手が震えている。 「うん、よろしく」 「ひっ……」 エレブーに手を握られた瞬間、リザードンは全身が一瞬ビクッ、となったが、 その後は落ち着いたようで、笑顔が見られた。 「それと、ガラガラ。ちょっと暴力主義なところがあるのが玉に傷」 「何が暴力主義よ」 意外にも、いつものホネこんぼうは飛んでこなかった。 「あと、岩石製のポニーテールが特徴のイワーク」 「よろしく」 「よ、よろしく……」 やはり俺たちの姿が見慣れないのか……多少は打ち解けた感じはあるが、 たまにビクビクした表情を見せるエレブー。 まあ、ここにいた皆全員、俺と初めて会ったときは相当警戒心とか強かったから、 慣れてはいるんだけどさ。 「ところでエレブー。サンダーの所へはどれくらいで着くんだ?」 「えっと……いちばんおくの、いちばん広い部屋。 だから、もうちょっと」 「そうか、もう少し……よし、そうだな。 エレブー、悪いけどこっちに来てくれないか?」 「?」 エレブーを呼ぶ。 それと同時に俺はバッグの中からわざマシンケースを取り出す。 中には数十枚ほどの、色とりどりのCD――――わざマシンが収納されている。 タイプごとに色が違うって仕組みだ。 例えばわざのタイプがくさだったら緑、ほのおだったら赤、みずだったら青、という感じだ。 「えーと……あ、あった」 その中で俺は一枚のわざマシンを取り出す。 水色に輝くわざマシンを、俺は萌えもん図鑑へ挿入した。 「エレブー、ちょっとじっとしてもらえないか?」 「なに?」 これから何をするのか全く分かっていないらしく、 首をかしげるエレブー。 「えーっと、まずはわざを忘れさせないとな……」 エレブーの所持わざを見る。 かみなりパンチ、スピードスター、でんじは、にらみつける…… 補助わざは使わないからな……にらみつけるでいいか。 にらみつけるにカーソルを合わせ、決定ボタンを押す。 すると、萌えもん図鑑の先端から、白い光が射出される。 この光線を浴びると、指定したわざを忘れることが出来る。 「ひゃっ!?」 突然のことに驚きを隠せないエレブー。 「悪いな。すぐ終わるからじっとしてくれ」 数秒足らずして光線の射出が終わり、 今度は水色の光線が射出された。 これはさっき萌えもん図鑑に挿入したわざマシンのデータ。 この光線を浴びることでわざマシンに入ってるわざを覚えることができるのだ。 今度は特に驚く様子も無く、じっと光を浴びるエレブー。 こちらも数秒足らずで終わった。 「よし……これで準備万端かな」 「マスター、さっきエレブーに何のわざを覚えさせたの?」 ガラガラの質問。 「ああ、対サンダー戦への秘策」 「秘策?」 「まあ戦ったときに分かるって、それじゃあ、行くか」 「秘策って……気になるじゃない。何のことだか教えてよ」 「んー……じゃあ、ヒント」 俺は拳を握って、空気に向かってパンチをした。 「これ」 「?」 ガラガラ、全く分かっていない様子。 「さーて、行こうか」 「ちょ、結局一体なんなのよ!」 「ここだよ。サンダーはここにいるはず……」 エレブーに案内されて、ここの最深部ともいえるような、 巨大な部屋にたどり着いた。 中心には巨大な機械……恐らく発電機だろうか、それがせわしなく動いている。 「ここに、サンダーが……」 俺はあたりを見回した。 でも、サンダーらしき姿はどこにも見当たらない。 一体どこにいるのだろうか…… 「くそっ……どこに隠れて……」 「ここだ」 上空から声がした。 冷たく、背にずしりとのしかかるような、そんな声。 俺は自分の真上を仰ぎ見た。 すると――――――。 いた。 その姿は絵とほぼ同じだった。 褐色の肌、黄色と黒を基調とした翼。 堂々と翼を広げて、そいつは確かにそこにいた。 伝説の鳥萌えもん、サンダー。 「お前が……」 「……始めようか」 「なに?」 「お前は我を捕まえに来たのであろう? ならば道は一つしかあるまい」 サンダーは上空で戦闘体制を取る。 翼に、電気がバチバチ、と音を立ててまとわりつく。 すると、サンダーの周りにあった機械が、音を上げて爆発した。 それが、サンダーの持つ電気がどれほど強力なのかを物語っている。 「我と戦って、お前の強さを我に証明してみるが良い」 「なるほど……分かってらっしゃる」 今、伝説の鳥萌えもんを前にして、俺は手の震えが止まらなかった。 あまりの威圧感に、 あまりの神々しさに。 背筋から汗が流れる、鼓動が早くなる。 ああ、凄く怖い、でもな―――― 「上等じゃねえか……」 汗ばんだ両の拳を、握り締める。 「伝説だがなんだかしらないけど……」 震える両の足を、大地へ力強く踏みしめる。 「……やってやろうじゃねえの!」 ――――負ける気なんか、微塵も無い! ここに、俺たちとサンダーとの、壮絶な戦いの幕が切って落とされた。 ―――――――――――――――――――― 中編終わりました…… SS書いて思うんですけど、場面が変わるところって難しいですね。 次が後編、バトル風味で書くものだと思われます。 果たして書けるのかどうか……そこは皆さんのSSを参考にして、感じを掴んでいきたいと思っています。 で、キャラ設定っぽいものを。自分が勝手に持ってるイメージが入ってます。 マスター…名前とか決まってません。考えたこともありません。 ちょっと情けないところがあるけど、皆のことを第一に考える優しい人。 リザードン…真面目です。でも少しだけ怖がりなところも。 いちばん嫌いなのはみず、その次にでんき。 イワーク…最近空気。ごめんなさい。 冷静だけど、たまに感情の浮き沈みが激しくなったり、大ドジをかますことも。 ガラガラ…突っ込み担当。マスターの失言の度にホネこんぼうが唸る。 あれこれマスターに突っかかるのはマスターが好きなだけなんです。きっと。 エレブー…今回の主役。後編ではきっと大活躍。 幼いんです。子供っぽいんです。自分のイメージの中では。 マルマイン…性別不明なんですけど、男の設定です。 中編では出さなかったけど、後編ではしっかりと…… エレブー(父)…主要キャラにしようと思ってたけど、ごめんなさいお父さん。 マルマインと一緒に後編ではしっかりと…… サンダー…伝説系なので、口調は高貴に…なってるかな? いや、伝説系=高貴なのは自分の偏見…? ギャラドス…束縛が嫌いな自由奔放な人。 あくまで手伝える範囲でマスターの手助け。仲間にはなりたくない。
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「いいんですか!?」 「なーにその萌えもんの名前はゼニガメと呼ぶ、君の大切なパートナーじゃ!」 「あ、ありがとうございます!ヨロシクなゼニガメ!」 「はい!よろしくです~」 こうして俺は初めて萌えもんトレーナーになった! つづく! 小ネタ フシギダネ「先を越された…」プルプル ヒトカゲ「先を越された…」プルプル